サーモスタットの点検と交換手順

サーモスタットとは
エンジンとラジエーターの間にある冷却水(クーラント)の通路に設置されている温度感応型の弁のことです。
内部に封入されたワックスなどが熱で膨張・収縮する特性を利用し、自動的に弁が開閉するシンプルな仕組みです。
温度制御の役割
エンジン始動直後など水温が低いときは、弁を閉じて冷却水をラジエーターへ送らず、エンジン内部のみを循環させるのが特徴です。
そのため、エンジンを素早く暖機し、最適な温度まで上昇させる(オーバークールを防ぐ)ことができます。
水温が規定の温度に達すると弁が開き、冷却水がラジエーターへ流れて放熱することで、水温の上昇を抑えます(オーバーヒートを防ぐ)。
故障の症状(サイン)
サーモスタットが故障すると、弁が開いたままか、閉じたままかのどちらかの状態になり、エンジンにとって非常に危険な状態を引き起こします。
弁が開いたままの故障(オーバークール)
弁が開いたまま固着してしまうと、エンジンが冷えている状態でも冷却水が常にラジエーターへ流れ、過剰に冷やされてしまいます。
この状態をオーバークールと呼び、暖機に時間がかかる、走行中も水温計の針が上がりにくい、といった症状が現れます。
弁が閉じたままの故障(オーバーヒート)
弁が閉じたまま固着してしまうと、水温が上がっても冷却水がラジエーターへ流れず、エンジン内部に熱がこもり続けます。
この状態はオーバーヒートと呼ばれ、水温計がH(Hot)付近まで急激に上昇する、冷却水が吹き出すといった深刻な症状が現れます。
オーバーヒートはエンジンに致命的なダメージを与えるため、すぐに走行を中止してください。
点検方法と交換手順
サーモスタットは消耗品であり、定期的な点検と交換が必要です。
機能点検の方法
サーモスタットを取り外し、鍋に規定温度の水を入れ、加熱しながら弁の開閉を観察する「煮沸テスト」が一般的です。
水温が規定温度に達したときに弁が開き始め、さらに上昇すると全開になるかを確認します。
規定温度に達しても開かない、または常に開いている場合は交換が必要です。
DIY交換の正しい手順
交換作業は、まずエンジンが冷えていることを確認し、冷却水を抜き取る作業から始めます。
次に、サーモスタットが格納されているサーモスタットハウジングを取り外し、古いサーモスタットを取り出してください。
新しいサーモスタットをセットする際は、パッキン(Oリング)も必ず新品に交換し、ハウジングを規定トルクで元通りに組み付けます。
最後に、新しい冷却水を注入し、エア抜きを確実に行うことが、交換後のトラブルを防ぐ重要なポイントです。
冷却水が漏れないか、水温計が正常に動作するかを確認してから、試運転を行いましょう。
